もっと出会いを素晴らしく チェンジング・フェイスによる外見問題の克服

重いやけどで外見にハンディキャップを負った著者が、どのような困難に直面し、どのように克服していったかについて語ったドキュメントである。この本は以下の点で非常に役に立つ。①外見というコミュニケーション情報群が、どのような影響力をもっているかがよく理解できる。②これは無傷の一般人同士でのコミュニケーションにおいても観察されうることである。③認知行動療法の自己訓練という意味で、著者の体験と実践は多くの人々を勇気づける。④外見問題への認知行動療法の出発点であり、さらには摂食障害に代表されるような現代社会病理の分析にも、多くのツールを与えている。⑤本当に寛容な社会とは、真に多様性を認める社会とは、それらを考える上で重要な手掛かりを教えてくれる。というわけで、この本は単なるドキュメントでは決してなく、これまで意識してこなかった、現代社会に足りないものを考えるヒントを教えてくれる本である。