すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画

ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」や「春」、ゴヤの「わが子を食らうサトゥルヌス」など、有名なのによくよく考えたらどういった意味なのかわからない、という絵画は意外と多い。本書はそういった多くの西洋絵画のテーマとなっているギリシア・ローマ神話の大ざっぱなストーリーを、81点もの絵画と共に解説してくれている。一つの絵に対して詳細な解説とそれにまつわる逸話、神話の中のどういったシーンなのかの解説、登場人物の相関などを図解を交えてわかりやすく紹介している。あまり気にしていなかったが、こいつはこんな神様だったのかとか、この動物はこういった意味があったのか、と次々と発見があり非常に楽しめた。またギリシア神話とローマ神話での神々の呼び名の違いの解説もあり（ここが意外とわかりにくい）、親切で良かった。こうして見ると全知全能の神であるはずのゼウスの女たらし具合や恐妻度とか、どいつもこいつも誘惑されすぎとか、ギリシア神話の読み物としての魅力が伝わってくる。絵と同時なので情景のイメージが掴みやすくなるのも◎。ギリシア神話について知りたいんだけど読むのは億劫という人や、逆に絵画は好きなんだけど神話についてはあまり興味がない、という人にはうってつけの一冊。