川に生きる 世界の河川事情

東京新聞の連載コラムを書籍化しているので、一テーマが見開きページ程度と読みやすく、親しみやすい文章がす～っとアタマに入って来ます。他界した父が鮎の友釣り好きで長良川へも通っていたので、アユの項目を読むと父が竿をさしている光景が目に浮かぶようです。長年にわたり一つの河川を見つめた新村さんが、自然の摂理や人工物の影響等を克明に、端的に教えてくれます。特に奄美大島に生息するリュウキュウアユについては、自然保護活動から取り組んだ経緯が書かれ、「森林伐採、水害、そして、やがて始まるだろう災害復旧の河川工事を思い暗然とした。（乱開発により）頻発する水害や河川工事は、川の自然を損なう」という記述は象徴的でした。もちろん、内容はアユの生態系だけではありませんし、川と触れ合う楽しさも書かれています。環境コンサルタントとしての視点・知識・経験から著された、逸品です。